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茜色に焼かれるのmiiのレビュー・感想・評価

茜色に焼かれる(2021年製作の映画)
4.2
父親を殺された母子。
高齢の官僚ドライバーに アクセルとブレーキを踏み間違えて殺されたのだ。
彼からの謝罪は一切なし。
池袋の事件を思い出す。
フィクションながらも わたしは腹わたが煮えくり返った。

汚いお金だからという理由で 母子は慰謝料を一切受け取らなかった。
母親は生活のために昼のバイトと 夜は風俗で働き
客から見下された言葉の暴力を受ける。
どんなに虐げられても 彼女は客に対して笑うのだ。
同じ女として わたしは悔しくて涙が出た。

彼女はどんなに辛くとも感情を押し殺して
「まぁ 頑張りましょ」と演技をしてきたのだ。

息子 純平が13歳にして自転車を一生懸命練習する姿があったが
あの場面がいちぼん涙した。
幼い頃に父親が亡くなり母親ほ日々の忙しさで
自転車を教えてもらえなかったんだよね。
それくらい 母親は毎日が必死だった。

風俗のお店で知り合ったケイとの出合いは 素敵なものだった。
こんな理不尽だらけの世の中でも 必死に生きる女たち。
母親が固めていた鎧を唯一脱ぐ事ができた存在 いわば戦友のよう。
ケイが男を殴る場面は 唯一無二の友の叫びであった。

息子純平は将来トップのトップになって
学校のあいつらを見返してやるといい。
この社会の歪みや不条理を変えるような 大物になってもらいたい。
こんな経験をしてきた者だからこその強さがあるはず。

河川敷での茜色をした美しい夕焼けを
母子は気付いたのだろうか?
あの夕焼けに負けないくらい
わたしには二人が美しく見えた。

終始 辛いストーリーでほあるけれども
母親の気高さと強さに心打たれます。
この作品を観たなら
コロナでくじけそうになっても 頑張ろう!と勇気をもらえるはず。
負けるな!

「ヤクザと家族」「すばらしき世界」と並ぶくらい
感情を揺り動かされた作品だった。
mii

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