1942年ベルン(スイス)、偉そうな人たちが集まってのパーティ。フランス人の外交官がここから回想するところから始まって、そして最後にまたここに戻ってくる。回想するのは、フランス領北アフリカでのこと。
外交官の男は、出会ってしまった女に対して、一生に一度の恋を求めたのだと思う。身を滅ぼしてもいい、破滅に至ってもいい。狂ってもいい。この女を自分のものにしたい。
直感に生きるという女は、そんな男の支配に縛られるなんてきっとこれっぽっちも考えてない。だから尚のこと男は縛ろうと躍起になるのだと思う。女が男に対して、何度か右手で制止しようとする。その仕草がとても印象的だった。ホントにダメな制止と、制止しても男が求めてくるのを受け入れてしまうことがわかったうえでの制止と。あの右手の制止は、多様な意味が込められているように感じた。(色っぺぇシーンたくさんあったけど、なぜか特にはそそられませんでした)
艶っぽい色合い。高級そうな調度品。壁の文様。光沢に満ちた照明。リネンのスーツに身を包む上流階級の社会。でもそのすぐ横には現地の人々の生活がある。支配される側の子どもたちが、支配している側の大人にまさに玩具のような扱いを受けていたり、イスラームの信仰があったりなど、ただキレイな上流のお話だけで終わらせているわけではない。
ヘカテはギリシア神話の女神で、映画のなかでは悪い女神のような言い方をしてたけど、ほんとにそうなのかな。それはあくまで男からみた像にすぎないような
幕の閉じ方が美しい。男が目にしたものは幻影に過ぎないのだろうけど、女が鏡の向こうに入っていくような、奥の部屋へと入っていくような。いずれにせよ、男はもう二度と触れることなどできないのであろう
メモ
♪Valse Ambassada