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アミューズメント・パークのblacknessfallのレビュー・感想・評価

アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)
3.4
俺たちのゴッドファーザー・オブ・ゾンビ🧟‍♂️ロメロの未発表作品。出来が依頼主のお気に召さなくて封印され、長らく行方不明になってたフィルムが発見されリマスターを施されての初公開。ずっと観たかったやつ。

あらすじの表記がシンプル過ぎてビビる。老人が遊園地でひどいめに遭う、これだけしか書いてない。本当にこれだけしかない映画だった。

本作はアメリカで食えない映画監督が高確率で糊口を凌ぐために撮る、国とかのモラル規範を啓発する所謂、教育映画。1973年にロメロが撮っていても何の不思議もない。元々テレビCMの請負いとかもやってたしね。メジャーに取り込まれず作家性に忠実な映画撮るためにインディー監督はみんな苦労してんだよ。で、泥臭い仕事もする。若松孝二監督なんかと同じな。独立不羈の精神性の証。


老人が遊園地で受ける酷い仕打ちは全て現実社会に蔓延る高齢者差別(エイジズム)のメタファーになっている。
老夫婦と若者のゴーカートが衝突する。若者が出したウィンカーと反対にハンドル切ったから起きた事故だが、仲裁の警官は老夫婦が突っ込んできたという若者の言い分だけを聞く。事故を目撃した主人公の老紳士が警官に真相も話すも老眼だからと取り合ってもらえない。
これは序の口で、老紳士は年齢を理由にアトラクションの利用を断られる。大きな荷物をもて余しても誰も手助けしてくれない。親切を装った男に心を許して会話に夢中になり懐中時計を盗まれる。
占いの結果が悪かった若者に腹いせで殴打される。バイカーに絡まれてリンチされる。酷さがエスカレートしていく。唯一、老紳士を優しく招き入れてくれたのは姥捨て山状態のリハビリテーション施設、、
老人は邪魔者にされ。食い物にされ。鬱憤晴らしに虐待される。そして社会から隔絶され棄てられる。
描写はソフトだが良心的な佇まいの老人紳士が惨く理不尽な仕打ちを受け続けるのを観るのはつらい。

あまりに風刺的な警告がどぎつくて依頼主のルーテル教会が公開を取り止めたほど。だから未公開映画になった。てか、お蔵入りにしたのはえげつない老人いじめシーンのせいじゃなくて、遊園地内の出張教会⛪️?みたいなパビリオンの牧師が救いを求めてきた老紳士を時間外だからと言って追い払うシーンを問題視したからだと思う。教会がアンモラルな加害者側てのがまずかったんじゃないかな?
いずれにせよ、確かに強烈な作品なんだけど請け負い仕事、それも教材だから画的にロメロらしさは皆無。でも、視点がロメロらしい。
本作に登場する老人軒並みぞんざい無比に扱われるなか、資本家とおぼしき大金持ちの老人だけは周りから超丁重な扱いを受ける描写がある。周囲には、それを虚無な眼で見つめる庶民の老人達が配置されている。『ランド・オブ・ザ・デッド』で格差社会を風刺したロメロらしさを感じるシーンだった。

ロメロは単なるホラーオタクではないから常にゾンビで社会を見つめ、体制の横暴、大衆社会の残酷さを風刺してきた。そういう人にこんな仕事を頼めば強烈な仕上がりになるに決まってるよ笑 社会のお荷物は死ねという言説に潜在的な高支持があり、「老人は集団自決すべき」と唱える経済学者○□が識者と認識されてる、人心が荒廃しきった鬼畜大国の我が国で観れるのは意義深い。

このロメロの社会批判や風刺を邪魔なだけだと貶すオタクは多い。まあ、オタクは突き抜けたゴア描写とか〇〇のオマージュとかオタクの俺様だから分かるみたいな実にちんけなオタク的選民意識を満たすためだけにホラー観てるだけだからな😏 社会を真剣に考え憂えるなんて人間らしい感情も思考もないから、オタクは。
むしろ、そういう人を積極的にバカにしたり冷笑するよな、オタクは。それで成田悠輔の「老人集団自決」に一理あるとか言ってリアリストぶったりするじゃん、オタクは。そもそも、老人が資産を独占してたら年老いたおまえのご両親は「オタクや、早く就職して自立しておくれ」👴とか「オタクや、せめて月に食費だけでも入れておくれ」👵とか懇願する必要ないよな😏?何でおまえの年老いた親御さんは資産ねーんだよ。自分と社会を切り離し高等遊民気取りで社会性のない映画ばかり観てるから簡単に自分を安く使い棄てる側の煽動に騙されるんだよ。いや、本当にバカだなオタクは😩
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