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ブラックボックス:音声分析捜査の655321のレビュー・感想・評価

3.4
【自分、色んな“音”を拾っちゃうんスよ】

耳(=アンテナ感度)は誰よりも鋭く繊細だ!
と自負する音声分析官マチュー。

ヘッドホンをつける時の摩擦音。
同僚の貧乏ゆすり。
妻と雇い主の視線の交錯。

マチューの世界には違和感が溢れている。
故に疑心暗鬼になり、それを推進力としてミステリーを盛り上げる。
「繊細な自分」という被害者像を仕立て上げて暴走する。

これね、私たち観客も映画の全ての情報を聴き逃すまいとしているから自然とマチューと一体化してしまうんですよ。
アヤシイこと・人だらけに見えてくる。
そしてマチューと一緒に“情報”に恐怖する。
ミスリードが多くて乱雑な所も「押し寄せてくる情報」ってカンジがして個人的には良かった。

ただ唯一気になる所は、
ミステリの根幹の「どうしてそれが出来たのか」は「出来るもんは出来る」の力技で押し切ろうとしてくる部分が多々見受けられるのが残念。
こっちも敏感になってるぶん、ちょいノイズになってしまった。
勝手にノイズを拾ってガッカリするのもこの映画っぽいっちゃぽいスね。

ノイズばかりの世界。
聴きたい音を探すために二転三転する物語にハラハラしました。
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