真相に近付いているようでなかなか近付けない展開にハラハラしながら、前のめりで観た映画だった。
航空事故調査局の音声分析官として働くマチュー。ブラックボックスに残された音や携帯に残された音を手懸かりに、事故当時の状況を浮かび上がらせていくマチューのその耳のまあ敏感なこと。余りにも緻密に繊細に多くの情報を拾っていて、それはきっと天性のものと訓練の賜物なんだろうけれど、でもその耳がマチューの運命を決めてしまったようにも思えたラストに、なんとも暗い気持ちになった。
マチューが辿り着いた機内で起きた事には、315人の命に対してやるせなさを感じたし、その事件が起きた背景を知ると、人為的ミスはゼロにはなれないけれど、やっぱり人の目を無くす事もまたリスクヘッジにはならないよな···とつくづく思った。そして怖いなとも。
〈音〉だけで真実を暴け！のキャッチコピーに、デンマーク映画の「THE GUILTY ギルティ」を連想したけれど、それとはまた違った〈音〉の映画だった。映像が絡んできたりして音だけに特化したわけではなかったけれど、それでも、見応えがあって面白かった。
#13_2022
