同じ原作でドラマも放送されていたようだけれど、それは放送終了後に知ったから、映画は観てみたいと思っていた。けれど、まさかこんなにも刺さってくる内容だったとは思わなかった。伝えたい想いを真っ直ぐに伝えた紗枝に涙すると共に、これは単なる青春映画ではないなと思った。
「言ってくれれば良かったのに」「言って欲しかった」その言葉を鵜呑みには出来ないと、本当は心の奥で思っているから、意地悪にも尋ねたくなった。亮平の戸惑いをあなたは理解出来なかった？と。戸惑うことではなく、否定することに問題があると思っているから、純自身をちゃんと見た亮平の友達を想う心には、ホッとするものがあった。
自分を苦しみから解放する為に紗枝を利用し、紗枝を傷付けた純。小野が純の何に怒ったのかは分かるけれど、でもアウティングはしてはいけなかったと思う。当人達をすっ飛ばして怒りに任せた小野もまた、純同様身勝手だったと思う。
『フォーリング 50年間の想い出』で、ジョンとエリックとモニカが家族であったように、同性同士のカップルも子どものいる家庭を持つことが当たり前にあれば、きっと安堂君にその悩みはなかっなんじゃないかと思った。時代と共に常識は変わり普通も変化する。ようやく少しずつ多様性が進み始めたのかなと思える昨今、自分自身“当たり前”の幅を広げていきたいなと、改めて思った映画だった。
紗枝が描いたあの絵を、純も見ていたら良いな。
#146_2021
