「これは最高のバッドエンドか、最悪のハッピーエンドか」“私”の視点で観るか、黒服の視点で観るか。誰視点で観るかで捉え方が変わりそうだけれど、私は“私”からも黒服からも距離を取って観てただけに、最悪のバッドエンドだわって思った。
最初、黒服は“私”にしか見えていないのかと思った。黒ずくめ、だけでは大して目を引くことも浮くことも無さそうだけれど、大学にいる黒服は私には場違いに見えて、どうして誰も興味を示さないのか、不思議にすら思った。
黒服は暇を持て余し過ぎていた、と思う。早々に人生分稼ぎ終わってしまって、やることが無くなって。だから、些細な事件を起こすことで、日々の退屈を凌いでいたように思えた。そんな黒服が出会った、鬱屈、退屈、不満を抱えて、つまらない大学生活を送っていた“私”。つまらない中に衝動を抱えて本当は諦めていなかった“私”が、黒服の中の空洞を埋めてしまったんだと思う。“私”が黒服に願いを放ち、黒服はそれを現実化する術を持っていたんだから、最悪の出会いだ。
周囲を破壊しても、自分自身がそのままならずっと、日々はつまらないままだと思う。原始時代になったとして、一体何が変わるんだろう···。先輩との苦い恋愛を味わった“私”は、気付くのが遅すぎたと思う。
#15_2022
