後継ぎはつむぐ
『仕掛人・藤枝梅安』シリーズから感じた時代劇の火をともし続けようとしているパワーにベッドした身としては、今作ももちろん。
今作の殺陣は盛り上がりはあるのだけれど、シーンとして見所はとなるとその先は出ない。
ストーリーのバックボーンが乗っかる血闘シーンとするとのめり込んでいた。
そうなるから、エンターテイメント作品としては「満点！」と叫びたいところに役者陣同士の"けっとう"が牙を剥く。
日本でもエンターテイメントを描くのは時代劇の構成がベストなんだろうか。
ねずみ男のように佇む柄本明には全てに参ってしまうし、この作品の主役は網切の甚五郎だと言いたいくらいに松本幸四郎を抑え込むくらいに北村有起哉の存在感が光る。というよりも、長谷川平蔵に敵対するキャラクターが際立ち、そこに共にするキャラクターもバランスの良い厚みを与えていく。
鬼平を憎めないと悟ったおりん、鬼平のそばに居たかったおまさ、網切の甚五郎が鬼平を憎んだ結果のおろく。
各人の鬼平（銕）へ向けた想いが交差していく円環構造もうまく機能する。
鑑賞中、時々にちらつきが気になっていたけれどこれはLEDウォールの影響だったのかな。
時代劇に最新の技術を使って撮影する意気込みも、この座組が手掛ける時代劇を応援したくなる魅力かな。
