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ミッシングのhonobonのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.1
向き合う善意に寄り添う悪意

完全に失った『空白』と不確定要素が残る失い方の今作。失った原因に詰め寄る構成は同じようでも、時間経過とともに失った側の深度の進み方は明らかに違う。
その描写を石原さとみがすごい勢いで壊れていき、空いてしまった穴が埋まることなく、むしろ拡がっていくさまを。時間が進むにつれて何かにすがるしかならない状況にまで堕ちていく母をまじまじと見せていく。

受け取り方が「批判」に変わっていく、真実を伝えた報道のその先にあるもの。
見えない何かによって崩れていく世の中の構造のように、失った後の塞ぎ方と考えていくと「辛い」より「恐ろしい」が浮かんでくる。

"自由と友愛の証"であるはずのパーカーもここでは絶望を表現する装置でしかなく。
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