インドの田舎の、貧しい家庭で育った主人公が、初めて観る映画に心を奪われて、映画を作る人に憧れるところから物語が始まる。
冒頭の娯楽が何もない村の中でも、工夫して遊んでいるシーンから、主人公が刺激に飢えていていることと、主人公がどことなく地頭が良くて賢いのが感じられ、その主人公が映画という刺激に触れて感化されていく様は、少年漫画の第一章を読んでいるような高揚感やワクワクが感じられた。
主人公を映画の世界へと誘う映写技師ファザルとの出会いや、父との対立など、もう少年漫画じゃんっていうストーリー。
途中から映画を作るという概念が変わってくるけど、そこからのストーリーも少年漫画。
おそらくこの作品だけで、10巻くらいの単行本に掘り下げて、壮大な少年漫画の第一章作れる。
また途中途中に挟む、母親が主人公にお弁当を作るシーンが秀逸。
お弁当を作る過程のシーンだけで言えば、物語自体には全く必要ないシーンなのに、とにかく綺麗で凄く力を入れて撮ってるのがわかる。
なんかここだけ『かもめ食堂』みたいになる。
でもそれが非常に良い。
異国の料理が作られていく様は、凄く観入ってしまうし、何より綺麗で美味しそう。
そしてそのシーンをしっかり映すことによって、作中にはあまり登場しないしセリフもそこまで多くない母親の、主人公に対する愛情が凄く伝わって最後のシーンに繋がってくる。
終盤にあまり理解出来ない謎のシーンもあったけれど、それを差し引いても良い映画だった。