数年前ミニシアターに行った時に気になっていた。
ギリシャ映画はほとんど観たことはないが、女性監督らしいオシャレで繊細な作品。
主人公ニコスは寡黙、コミュ力無し独身中年男性。10代から父親に学びこの道一筋職人。常にスーツを着て、他人の洋服の綻びさえも気になる性格。
ディミトリ·イメロスは表情や仕草、手の先にも気を配り、朴訥ながらも仕事を愛している職人ニコスそのもの。
ほとんど台詞がない中で、戸惑い、迷い、悔しさ、不安、喜びを表現。
隣人のオルガ、ヴィクトリアの交流も深まり、仕事も少しづつ広がっていく。
広がる世界。でも広がると同様問題も起きてくる。
父親がつくった店。自分の名前&息子。父親がこの店と仕事に誇りを持ち、息子を愛し期待していた事を伺わせる。
時代遅れになり、差し押さえになっても、仕事を辞めなかったニコス。この仕事しか知らないし、なにより父親の仕事を尊敬していたからでは。
ニコスの丁寧な仕事とテーブルマナーに見える躾の良さ、きっと幼い頃から父親に教わったのだろう。
ガサツで無頓着な夫より、無口だが優しく女性に配慮するニコスに心寄せてしまうのも仕方ないのか。
ニコスの台詞はほとんどここの場面。寡黙なニコスがよく話す事で心開くのを表現。感が良く、おませなヴィクトリアはニコス大好きだが、やはりここはそうきたか。
子供には子供の思いがある。
最後父親から褒めてもらうニコス。
もしかしたら初めて褒められたのかも。
それを自信にして新たに旅立つ。
きっとこれからも変わることなくニコスはニコスのままで。でもきっと未来は明るい。