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ふるさとのhoteltokyoのレビュー・感想・評価

ふるさと(1983年製作の映画)
3.8
ある村に住む一家が、ダム開発によって沈みゆく村の移り変わりに寂しさを感じながら、様々な想いを胸に秘め、大切なものを思い出し、そして継承していく物語。

加藤嘉がこれ以上ない“田舎の爺”を大熱演。ダム開発に落ち込み人工が減って先細りする村へ寂しさを感じながら、痴呆が進み、老い先長くはないおじじの伝三が孫の千太郎に秘伝のアマゴ釣りを教える。なかなかの田舎にいかないと体験できないような贅沢な時間を孫と共有する伝三と孫。アマゴとの真剣勝負もさることながら、目をかっ開き、口をへの字に曲げた伝三の迫力は、あの矢口高雄の『釣りキチ三平』を連想させる。毎回、孫の部屋の窓からニョキっと現れて声をかけるシーンも必見だ。

「森というのは木や花がその場で生き生きしている。だから1人でいても寂しくないんだ。」という言葉を孫に残せるおじじって、今となっては貴重な存在よね。
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