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劇場版 呪術廻戦 0のRYOのネタバレレビュー・内容・結末

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます


日本の誇るアニメーション映画になりうる作品である


鬼滅の刃のヒットを機に作画を重視する視聴者が増えた中
アニメでこれでもかという画力の応酬により
顔面を両の手で叩き伏せられたのが記憶に新しい
呪術廻戦

呪い、日本をテーマにしている分
海外受けも良く今後の伸び代もかなり大きいと思われる



ストーリー
アニメの時間軸から数年前の物語

乙骨という少年が
奇しくも特級過呪怨霊に取り憑かれ
呪術の世界に足を踏み入れていく


アニメ版で既に登場しているキャラクターがしっかりと活躍している様は本当に見応えがあった

オリジナルカットも多数
東堂の逸話、七海の黒閃、冥冥の無双



何より今作のMVPミゲルの活躍

彼は敵ではない
勇者である

あの五条を相手に10分間、五体満足で足止めを完遂させ
味方を誰一人欠けさせず逃げ切るという芸当を成し遂げた

面白いことに彼の株はこれより始まるアニメの続きにより更に上昇する一方であるということ



声優

主人公乙骨を演じた緒方恵美さん
誰もが知りうるであろうエヴァンゲリヲンの主人公を演じたことで大変、名高いことである

最初こそ少し明るいシンジ君という色眼鏡で見てしまっていたが
声を聴くたびそこに映るのは

乙骨憂太であった


彼の生き様には魅せられる

偏に承認欲求の塊である


有名な哲学者アドラーも承認欲求を無くすことで人は幸せになれると説いた

それも当然一理ある

人の意見、目線を気にしなければさぞ無敵になれるであろう
人生が豊かになるであろう


だがそれを捨て切るべきなのだろうか?
心の軸を守るべくしてその考えを盾として身につけておくのはいいと思う

しかし誰かと関わる、必要とされたい
こんな声を人にぶつけることができるのが

代え難い人間臭さではないだろうか


だがそこに終わらないのが乙骨

一度仲間を傷つけられれば感情を露わにし
言葉でさえ武器とする

しっかりと彼の狂気が描かれている


自分が呪ったせいで里香が怨霊になったとはいえ
実害を被り自決にまで追い込まれておきながら

僕のせいじゃないか

あの言葉は出てこない


これらを搾り取るように現してくれた緒方さん

尊い



アニメの続きにあたる
五条、夏油のシーンを見せてくれたり

申し分ない作品であった
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