ミーハー女子大生

隔たる世界の2人のミーハー女子大生のレビュー・感想・評価

隔たる世界の2人(2020年製作の映画)
4.3
トレイヴォン・フリー&マーティン・デズモンド・ロー監督作。

第93回アカデミー賞短編実写映画賞にノミネートされている上映時間約30分の短編映画で、現在の米国社会における黒人差別を題材とした社会派サスペンスとなっています。

一夜を共にした女性の自宅アパートで目覚めた黒人青年が、外に出ると一人の白人警官に呼び止められ、抵抗空しく殺害される―という不当な出来事を延々と繰り返していく“タイムリープ物”です。

黒人男性が白人警官に押しつぶされ窒息死するという私たちの記憶に新しい実際の事件を冒頭で再現しつつ、どう足掻いても死の運命から逃れられない黒人青年を描いた不条理サスペンスで、ベッドで目覚める→外に出る→白人警官に殺される→再びベッドで目覚める…という一連の流れを100回近く繰り返しながら生き残りを模索する黒人青年の奇妙な奮闘が描かれます。

本作は、現在のアメリカ社会における白人警官による黒人への不当な差別と暴力の問題をSF的設定のもと苛烈に浮かび上がらせた社会派エンタテイメントとなっていて、主人公の黒人青年が白人警官に歩み寄りを見せても結局のところ死の運命から逃れられない点に、黒人と白人の間に存在する人種間の見えない溝の深さが提示されています。

このような差別は何十年、何百年続くのでしょうか。
今、新型コロナの蔓延に伴ってアジア人への差別が増え続けているなか、差別は対岸の火事ではなく自分ごとであると考え、せめて自分が差別するようなことがないように心がけたいです。

ストーリー 4
演出 4
音楽 4
印象 5
独創性 4
関心度 5
総合 4.3