コマミー

コットンテールのコマミーのレビュー・感想・評価

コットンテール(2022年製作の映画)
3.5
【妻の最後の願い】




少し感情が汲み取りにくい場面も多々あったが、"外国人監督が作った日本人が主演の映画"としてはここ最近ではなかなか味のある作品だなと感じた。
監督は"パトリック・ディキンソン"と言う方なのだが、本作が"長編デビュー作"で、かつては短編で腕を磨いてた監督のようだ。実はかつて「USAGI-SAN」という作品で、日本人を描いており、尚且つ、本作の内容にも繋がる物語となっているようで、日本で見れる媒体がないのが残念なのだが、いつか見てみたいものだ。

60代の作家である主人公が、"亡き妻の願い"である「"イギリス:ウィンダミア湖"に"遺灰"を撒いてほしい」を叶える為、"息子"とその妻子を連れてイギリスに降り立つと言う物語なのだが、主人公と亡き妻の思い出話のような物語なのかと思えば、後半、息子との"距離感"にもスポットが当てられ、この二つが交差してラストはなかなか趣深い着地ができた作品だなと感じた。
"日本の描き方"も、多少は違和感があるシーンもあったのだが、やはり監督もいろいろ大好きな日本の事を勉強したのか、しっかりしていた方かなと感じた。

妻役の"木村多江"さんのあるシーンの演技が壮絶で思わず絶句してしまった。亡き妻の死因の決定的なものを描くシーンだったのだが、あれは本当に凄かったし、「ぐるりのこと。」以来の"リリー・フランキー"さんとの兼ね合いも凄かった。

"ロードムービー"的切り口で物語が進んでいき、途中で出会った"名優キアラン・ハインズとその娘イーファ"が演じた親子との交流を含め、静かで趣のある人間ドラマであった。もう少し人間模様なんかをしっかり描いて欲しかったが、見た後「これはこれであり」とも感じる事ができる、"英国製邦画"だったなと感じた。
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