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コットンテールのMKのレビュー・感想・評価

コットンテール(2022年製作の映画)
4.0
ウィークポイントにメガヒット…号泣。

最愛の妻の死と圧倒的な欠落
父と子の葛藤と絆の修復
家族の再生と萌芽

言ってしまえばモチーフは単純明快。
そんなモチーフをrabbit、イギリスの美しい自然や人々との出会い、兼三郎の記憶の回想で積み重ねていく感じ。

新鮮味はないと思ったけどかなり序盤から涙してしまった。

自分の両親は、父が先に他界して母が遺され、どうにも居た堪れなかったのに、その逆は…という想像と、兼三郎の虚無感と喪失感、彷徨感が妻との思い出と複層的に語られていくにつれ、どうにも切なくて堪らなかった。

それを演じるリリー・フランキーの浮世離れした存在感もどうにもハマってしまい、落涙スイッチが序盤から入ってしまった…

そんな両親の息子であるトシ、彼もまた父の本質的な不在とか確執とかを抱えていて、自らが父となり妻を失うことの意味や、父への思いの変化など、やはりこちらも想像も共感も沢山できてこちらも胸が熱くなった。

そしてこの2人の感情の源はどうしたって木村多江さん演じる明子の母性に他ならないと思う。
そんな明子が永いお別れの果てに失われていくまでの心境とか…木村多江さんが好きということも手伝ってか、父と子の二人への感情移入に拍車がかかってしまった…素敵。

リリーさんと木村多江さんは『ぐるりのこと』以来?
邦画を好んで観はじめた頃に観て正直うろ覚え…いつも拝見しているレビュアーさんが本作にも言及していたので近々観直したい。

2人の若い頃を演じた工藤孝生さん、恒松祐里さんも素敵だった。

永訣は嫌だけど、こんな感情をいだけるように残りの人生を大切に使いたい。
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