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シン・仮面ライダーのkazuuのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
4.6
今回庵野監督によるリメイクだが、この映画、知れば知るほど、監督の変態的なライダー愛がわかる。
普通の監督が今リメイクするなら、平成・令和ライダーの様にイケメンを使って、爽やかなライダーのリメイクになるだろうし、まぁそれがThe firstなんだろうけど。


オリジナルライダーの第一話をみるだけでも、再現度がわかる。ロケ地や登場の仕方、アングル、コマを飛ばした様な動きなど。
暗すぎて何が行われているかわからない演出、一号二号の扱いや、仮面の色、スーツなどどれを取ってもオリジナルを踏襲している。

私はゴジラ、ウルトラマンより、突き刺さった。浜辺美波ちゃんが美しかったのは言うまでもなく、イケメンではない池松氏、柄本氏(失礼!)がリアリティあるし、贅沢すぎる俳優の使い方や、さりげなく散りばめられている、石ノ森キャラのイナズマン、キカイダー、ロボット刑事K、こんなの感動しない訳ない。
しかもライダーの本質が描かれていた様に思う。

だから平成ライダーを見る感覚で見に来たら、置いてきぼりにされるに違いない。映像が安っぽく見えてしまう点も、多分計算だろうけど、否定派には金がかかっていないとか、iPhone動画が多いとか、よくわからん演出に見えてしまうのが残念。
NHKで放送されたドキュメントでも監督が、観客はマーベルの様なアクションを期待するだろうと語っているが、出来た演出は殴り合いの肉弾戦。とどめは「ライダーキーック!」と叫ばないだけで、キックのみの攻撃。
それでもライダー同士の戦闘や、バイクのシーンは興奮したし、各オーグの戦いも個性が出て面白かった。


今回の映画は、浜辺美波ちゃんによるところがかなり大きい。
どちらかと言うと、明るくかわいいイメージの彼女だか、こんなクールな役で、時々見せるツンデレと笑顔、またホールで銃を構えるシーンもかっこよく、一瞬カメラ目線になる時に、おじさんはぶち抜かれてしまった。
巷でよく言われている、エヴァの綾波レイのリアル版。


ライダー三人の池松氏、柄本氏、森山氏も人間味があって、シンレギュラーの竹野内氏、斎藤工氏も画面に重みが出るのでよし、長澤まさみちゃんのウルトラマンでの真面目な役とは真逆で、セクシーでイカれたサソリオーグもよし、ギャルのハチオーグ西野ちゃんもかわいく、キャストにハズレはなかった。
クレジットを見て、安田顕?仲村トオル?松坂桃李?なんてどこにいた?という、贅沢な使い方も面白い。


YouTubeとかにも、この映画の酷評動画も多いのだか絶賛動画も多く、今の美しい映像のわかりやすいアニメや映画に慣れていると、この映画は酷評側に働くだろうし、ライダーの根本や当時を知る人は、絶賛になる気がしている。

ドキュメントも同じで絶賛派は監督目線で見ただろうし、否定派はアクション監督の田渕氏目線で作り直しさせられる側で見たに違いない。
でも監督の指摘通りのきれいな殺陣では無く、ヤンキー映画ばりに殴り合いにした方が、この世界観にはあっていると思う。

監督は口では、皆さんが面白いと思えるものを、と言われているが、実際には良さがわからんヤツはついてこなくていい的な、映画をぶち込んで来たなと思う。
とにかくオリジナルを大事にしたかった事が、よく分かる。
隣の座席に女子高生二人が見に来ていたが、どんな感想だったかを聞いてみたかった😅


映画館へ複数回見に行ったのは、スターウォーズEP9以来。久しぶりにどハマりしてしまった映画。
自分は子供の時にリアタイで見ていた世代なので、今回の解釈は納得しているし、何でもかんでもハリウッドみたいにしなくて良いんだよ、と思わされる映画でもあった。
あとやっぱり自分は、仮面ライダーが好きなんだと再認識もさせられた。


2023/4/1 梅田ブルク7 DolbyCinema
2023/4/8 大阪ステーションシネマ
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