映画を観た後に原作を読んだ。
『草の響き』の現在へ時間の軸をずらした映画化であると同時に、佐藤泰志の死への衝動もモチーフにした映画なんだなと分かった。
原作にはいない主人公の奥さんがいることで、精神を病んでしまった人の紆余曲折ありながらの立ち直りまでを描くに留まっていないことが好印象だった。
精神を病んでしまった人、死への衝動をもってしまうことが、如何に周囲をもその闇の中に引き摺り込んでしまうか、責任を負うということが難しいかということを俯瞰する立ち位置に、この映画はなっているように思う。
その意味で個人的には悔恨の念に駆られるような場面も多かった。
普通さではなく自分にとってシンプルで確かな感覚だけに身を委ねられたらどんなにいいだろう。