七瀬

劇場版 Free!-the Final Stroke- 後編の七瀬のレビュー・感想・評価

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Free!を初めて見たのは、高校2年生の時だった。友人に勧められて視聴して、すぐに好きになった。
毎週欠かさずリアルタイムで追いかけ、ニコニコ動画の配信で何度も見て、友人と感想を語り合った。
私が進路に悩んでいる時、遙や真琴もまた、将来が見えずにもがいていた。
彼らが地元を出て東京の大学に進んだのと同じように、私は1年遅れたが田舎から東京へ進学した。
Free!は、私の青春の隣にいた。
それから、6年という長い学生生活の中で、アニメを見なくなり、趣味が変わり、Free!の映画を見るために映画館へ足を運ぶこともしなくなった。

今年、私は完全ではないが夢を叶えた。高校の頃から憧れていた職業に就くことができた。
そのタイミングで、Free!という長く続いたシリーズが終わりをむかえるという。
見に行かなければと思った。私が大好きだった彼らが、どんな姿を、どんな景色を見せて終わるのか、知りたいと思ったのだ。

シリーズを通して考えた時に、主人公の成長という面で、やはり遙の変化は筆舌に尽くしがたいものだと思う。随分と熱い男になった。
水のようにとらえどころのなかった彼の熱を引き出したのは、松岡凛であり、その熱を肯定した上で暴走しないように傍に寄り添っていたのは橘真琴だった。
その関係性がまったく変わっていなくて、ああ、この物語の核はやっぱりそこにあるのだなと思った。

みんな遙の泳ぎが大好きで、彼の一種のカリスマ性に色々な形で魅了されているところも相変わらずで。いっそ清々しいくらいに、七瀬遙という男は主人公だった。

そうしてラストシーン、この作品はやはりああいう形が自然なのだろう。
やっぱり遙は水の中にいるのが当然で、泳いでいるのが普通で、それでこそ「七瀬遙」なのだ。
最後のセリフを聞いた瞬間、何度も繰り返し見たアニメシリーズが一気に脳裏に甦った。
エンディングでは、今まで発表(発売?)された多くのイラストが順番に表示されて、Free!の歴史をダイジェストで追いかけているようで、感慨深いものがあった。

この9年間、京都アニメーションは本当に様々なことがあったと思う。それでもFree!という作品を作り続けてくれたことに感謝したい。

さて、またアニメを1期から見返そうか。まだ見ていない映画作品を見ようか。
とりあえず実家の自室に飾られているFree!のポスターは、もうしばらく剥がさないでおこう。
七瀬

七瀬