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かそけきサンカヨウのslowのネタバレレビュー・内容・結末

かそけきサンカヨウ(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

志田彩良…ちょっと驚いた。あの頃の宮崎あおいかと思った。今更ながら、素敵な役者に出会えて感動。あとエンドロールで気が付いた。これ今泉監督だったんだ。言われてみれば、微かにそれらしさを感じたかも。芹澤興人がいたなとか。でも全然わからなかったな。菊池亜希子の登場は嬉しかった。やっぱり好き。そして、こういう役のイメージある井浦新。ちょっと違うけど『朝が来る』を思い出したよ。本作を好きだなと思う一方で、苦手だなとも思う。それは何故か。鑑賞後にこれが作られた経緯をちょっと調べてみた。どうやら原作があるものらしく、それを監督自身が熱望して映画化したとのこと。もし、これが原作通りであれば、表現があまりにも拙いと思うのだけど。どうだろう。言い訳のような台詞で首の皮一枚(ストーリーを)何とか繋ぎ続けているような、この物語には感情しか見当たらないのに、その説明だけをされて先を急ぐ観光ツアーのような脚本。時間の都合で削らなければならない箇所があったのなら、削り過ぎているように感じる。さらにいくつかの違和感。娘を大事にしてる風な父親が再婚することを急に知らせたこと。妹ちゃんがわざわざ陽の部屋に入りピンポイントであの本を破ったこと。そして、出て行った母親の心情が父親の言葉だけで描かれていたこと。意外と本で読むとスッと入ってくるものなのかもしれないけれど、映像に物語らせず台詞に頼ったことで、映画にする良さみたいなものが失われてしまったような気がした。題材やキャスト、そこに流れる空気はとても興味深く好みだっただけに、ちょっと残念。お母さんと呼ぶシーンは、わかっていても泣いてしまいました。
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