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キース・ヘリング〜ストリート・アート・ボーイ〜のKtoのレビュー・感想・評価

3.8
【説明】
キースヘリングの音声インタビューを軸に、生前に関わりのあった様々な人のインタビューを織り交ぜた中編ドキュメンタリー映画
【感想】
エリート主義で敷居の高いアート界に占有されていた芸術を、キースは「万人のもの」「直接的なもの」であるべきだ、と一貫して主張し続けた。
ヒッピーのジーザスムーブメント、LSD等のドラッグによるサイケデリック体験、ゲイカルチャーが多分に彼の作風に影響を与えていた。また、彼の世代で流行したコミックの「直接的かつ鮮烈」な技法も、キースの線画に影響を与えていたみたい。

周囲環境の影響を素直に受け入れて消化する姿勢は、それまでの「孤高な芸術家像」からはかけ離れており、ポップアートを手がける芸術家に相応しい性分を備えていたんだろうな...。見るからに優しいもん...。「批評も無視するようなタイプではなかった。全て細部まで読んで、気が気でなかったと思う」という話も、結構意外だった。とても繊細な人だったんだろな。

エリート主義、白人主義とは別世界の人々(有色人種、同性愛者等)が、キースの初の個展に集合したというエピソードがすごく良かった。もともとそういう文化に共感していたキースにとっては最高の結果だったのでは?と思う。
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