ヒノモト

ベネデッタのヒノモトのレビュー・感想・評価

ベネデッタ(2021年製作の映画)
4.1
「ロボコップ」「スターシップ・トゥルーパーズ」などのポール・バーホーベン監督最新作。
17世紀にレズビアン主義で告発された実在の修道女ベネデッタ・カルリーニを題材に描かれた作品。

近年作品は全く観てないですが、今作は大変面白かったです。
私はキリスト教徒ではないので、信仰心の強さからくる、幻視体験や聖痕など数々のエピソードの真偽はわかりませんが、ベネデッタ自身が少女時代からのもてはやされた状況を経て、修道女として大きな影響を与えていく姿は、自己演出を含めた、自らの自信や承認欲求の強さのなせる技だったのではと推測できます。

同時に、宗教ビジネスの閉ざされたダークさと市民への影響の密接さがつぶさに見て取れて、エンターテインメント依りの作品ではありますが、見応えのある内容だったと思いました。

セクシャルな描写や拷問などR18+ならではのシーンも多くありますが、ショットとしては美しく、過激さが度を超したところは見受けられませんでした。
(※キリスト教徒の方は、禁忌に触れる描写はあります)

当時の伝染病ペストをシャットダウンするような描写もあり、現代に通じる部分の面白さにも繋がりました。

シャーロット・ランプリングの演技が「すべてうまくいきますように」に引き続き、今作でも観られて、大変良かったです。

前述したようにエンターテインメント依りなんですが、全編ドラマチックで、キリストという人物の捉え方など、宗教観を問わず分かり易く伝えられていて、映像としての密度が高いので、満足度は高かったです。
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