いずみたつや

復讐者たちのいずみたつやのレビュー・感想・評価

復讐者たち(2020年製作の映画)
3.6
600万人の虐殺への報復として600万人の命を奪うという計画について、利いた風な口ぶりで「復讐はいけない」と言えるだろうか。

ホロコーストのおぞましい光景を知識として知っていることと、それが実際に眼前にあったこととは比べようもありません。

ホロコーストを生き延びた主人公が、ユダヤ人兵士から「収容所ではなぜ誰も戦おうとしなかったんだ」と問いかけられて怒りをあらわにするシーンは、両者の感覚が相容れないことをはっきりと示しています。

「幸せになることが最大の復讐」という言葉も、結局は当人以外が軽々しく口にできるものではありません。勇気ある決断によって救われた命があるという、とてつもなく大きな事実だけがただ静かに横たわっている——。