渡邉ホマレ

うずまきの渡邉ホマレのレビュー・感想・評価

うずまき(2000年製作の映画)
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2000年に『富江replay』と同時上映された際に劇場で鑑賞。

当時は1998年の『リング』フィーバー以降、毎年のように「J-ホラー」が公開されており、しかしまあ、『リング』を超える衝撃はなかなか与えられず、徐々にブームが下火になっていった印象だった。
本作もその中の一本であり、伊藤潤二の映像化作品を連続で観られるという状況に乗っかって鑑賞したものだが、それほど…というか、イマイチというか…、ぶっちゃけ主演2人の演技にヒキまくって怖がるどころではなかった。
それでもしっかりDVDは入手していたらしく、引っ張り出して見直してみることにした次第。

…で、22年の時を経て見直してみても、やっぱり主演2人の演技はとてつもないものではあるのだけれど、「それも味」と呑み込むことさえできれば(それが最も難しいのだが)、かなり見応えのある作品だと再確認できた。

最もオモチロいのは、舞台となる黒渦町の造形美術。絶妙に古さを残した家々や、交番、煤けた建物内部と、これは原作をかなりよく理解した立派なモノ。一瞬だけ見切れるポスターや標語、授業内容などにもかなり気がきいている。

脚色もかなり秀逸。原作の「うずまきにまつわるエピソードの連作→クライマックス」という流れを、90分という尺の中で見事にまとめている。
ざらっとしたフィルムの質感と、まだ発展途上ながらVFXの相性もバツグンで「味がある」。質感があるのだ。

(主演2人以外の)俳優陣は豪華そのもので、彼らの快演も見事だ。
特に堀内正美演じる田村一郎というキャラクターがなかなか見もの。原作で残された謎を補完し……かける重要な役割を担っていたりするので、原作ファンには鑑賞をお薦め…しなくもない。

ちなみに本作は原作とは異なるエンディングを迎える。
コレを「ぶん投げた」と嗤うか、「新解釈」と楽しむかは人それぞれだが、「ホラー映画」というよりも「怪奇映画」として楽しむ分には十分な気がする。

あと一つだけ言えるのは、
「でんでんのサイン、超キュートだなあ」って事ぐらいかな。