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びびのゆくえ / Whereabouts of Bibiのakrutmのレビュー・感想・評価

3.4
生活が制限されているコロナ禍の状況で、俳優を目指す主人公のひな子が、行方不明になってしまった愛猫のびびを探す中で遭遇した不思議な体験を描いた、小谷忠典監督の短編ドラマ映画。コロナ禍で制作や発表の場を失った芸術家たちを支援するために東京都が実施した「アートにエールを!東京プロジェクト」の一環として制作された作品。

本作で描かれているコロナ禍の何気ない日常にノスタルジーを覚えてしまうのは、もうすっかりコロナ禍が過去になってしまった現在での鑑賞体験ならではだろう。また、スペイン風邪のエピソードが絡んでくる内容には、100年前のパンデミックとの類似性が話題となった当時の世相を思い出させてくれる。

本作の中で『たまらん坂』と同じ名前の主人公を演じるのは、『たまらん坂』での主演をきっかけに俳優となった渡邊雛子。東京で一人暮らしをする主人公がコロナ禍で活動を制限され閉鎖感と孤独感の漂う状況の中で心の拠り所のびびを探す姿を、太い眉毛が印象的な彼女がふんわりとした感じで好演している。どこか雰囲気のある女優さんなので、これからも期待したい。
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