ヒッチコックの遺作。
どちらかといえばコメディ色強めだし、珍しく下品(でもないけど下ネタ)な会話もある作品ですが、全盛期すぎたヒッチ作品にしてはわりと良作。
前半見ている限りB級。
でも、マロニーとの待ち合わせシーンからヒッチコックらしさ全開。
レストランのドアが開くたび、今か、今かと焦るような逸るような気分にさせる。この絶妙なそわそわ感は、やっぱりヒッチコック映画になくてはならないし、ヒッチコックだからこそ作ることのできる緊張感。
そしてそのあとの崖を走るシーンも見事にヒッチコックでしたね。対向車やブランチの気狂い具合はちょっとやり過ぎじゃないかなとも思ったけど。
ブルース・ダーン演じるジョージがキャラクター的には冴えないタクシー運転手なんですが、人捜しの聞き込みを見ているととにかくデキる奴でビックリする。
あとはブランチのエディ捜して、「お呼びだぞ」と言われてでてきたのが双子だったり、アーサーの店の店員に「やぎ座ね?」と聞いて「しし座よ」と言われたり、このジャケットの通りにお茶目なヒッチの遊び心がかいま見えるところよかった。
カレン・ブラック演じるフランの、登場シーンからの魅力に取りつかれてブランチが地味に思えますが、ラストまで見るとふふふってなります。
どの映画見ても女性が素敵ですよね。
ブロンド美人はヒッチ映画の代名詞だけど、やっぱりヒッチコックは映画の中の女性に対して特別な思いがあるのかもしれない。