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わたしは最悪。のbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

今の時代に即したフェミニズム全開の、型にとらわれず自由に生きる女性を描いた映画。大変苦手な部類だった。タイトルは「最悪なアタシって最高」のつもりでつけているのだろうが、自分にとっては普通に最悪だった。自分の幸せを追求するといえば聞こえは良いが、あまりに身勝手で自分のことしか考えていない。

この手の映画の何が一番嫌いかって、男女逆にしたらボロクソに叩かれる内容になるってこと。やりたいことが見つからずフラフラした結果、30歳になるのに彼女を支えるためと言って本屋でバイトの男。彼女に連れて行かれた集まりで帰りたいと不平ばかりこぼすし、彼女が子供がほしいという話を少しでもしようものなら不機嫌に。彼女が仕事で成功したパーティーがつまらないから抜け出し、その辺で知り合った初対面の女と一晩中イチャイチャ。そのことを伏せ「俺は子供が欲しくないから」という理由で彼女と別れる。論理的に話そうとする彼女に対し「そうやって何でも説明しようとするところが無理。俺はもっとフィーリングで生きたい。」とか言って。カフェ店員をする新しい女とはその場のノリで盛り上がっただけの関係だったので当然そんなに上手くいかない。苛ついた男は「50になってもコーヒーを淹れる人生なんて俺はゴメンだね」と言い放つ。しかし避妊に失敗してあっさり子供ができてしまい、そのタイミングで元カノがガンで余命僅かだという連絡が入る。わざわざ病室の元カノを訪問し子供ができたことを伝える。結局子供はダメだったため、ほっとした男は女と別れ、冒頭の"自由"な暮らしに戻る。…本当にこれに好感を持てる?勿論男女逆だと妊娠のあたりは多少ニュアンスは変わってくるのかもしれないが、それでも大枠はこの内容で男女関係ないし。妊娠中なのに普通に煙草を吸っているのにはイライラしたなぁ。

映画としても全然上手くない。とにかくテンポが遅いし無駄なシーンが多いため、この内容で2時間を超えてくる。しかも会話が中心に進むのにその会話がほんとうにつまらないので、観ていてどんどん飽きてきて観続けるのがキツかった。

結局周りを振り回しまくって傷つけて、ラスト自分はスッキリした顔をして冒頭の状態に戻っているということにゲンナリした。ラストに選択したカメラマンだって、冒頭のシーンだとあの世界の"華やかさ"に惹かれてた感が強いし、信念を感じない。「自由奔放なアタシ」だと思っているのだろうが、その場に流されて適当に生き、不満はその都度全部相手のせいにして逃げている人生にしか見えなかった。タイトルから自分が最悪であるということに気が付いて改心する話かと思ったら全然そういう意味ではなかったよう。結局あの主人公は自分の目の前にある幸せに気が付けないまま一生そうやって過ごしていくのだろうよ。
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