舞台はロシア。
でっかいビデオカメラを手にしてるので、時代はかなり前のようだ。公衆電話も出てくる。
主人公ラウラはフィンランドからの留学生。考古学を専攻している。
恋人の大学教授の女性、イリーナのドタキャンにより、仕方なくひとりでロシア極北の地まで、古代の岩面彫刻を見に行くことになる。
寝台列車の旅で、コンパートメントで相部屋になった若い男が最悪だった。
ロシア人労働者リョーハは、ガラが悪く横柄で自分勝手で図々しい。おまけにウォッカがぶ飲みの酒飲み。
もうこれは不運としか言いようがない。
人々がひしめき合う寝台列車じゃ、逃れようにも逃れられない。ゆっくり眠ることも皆無だ。
ビデオカメラを再生し、恋人との日常に思いを馳せるだけが喜びのラウラ。
モスクワでの日々は、洗練された空間とインテリジェントな会話に溢れていた。
ところが、リョーハと嫌々ながら接していくと、意外な一面も見えてくる。
単純で捻くれ者だけど、お節介を焼いたり、願いを叶えるために親身になってくれる。ただ不器用なだけなんだなぁと思えてくると、次第に愛着すら湧いてくる。
これが愛なのかは、よく分からないけど、リョーハは恋人イリーナとはまったく対極にいる人物だし、そして、ロシアとフィンランドの歴史を考えるとやはりなかなか相いれないものがあるだろうし…
そんなことを度外視しても、人との関係は肌で感じないと分からないことだらけなんだなと思う。
極北の過酷な風景の中で、じゃれ合う2人の姿が熱い。
リョーハから受け取った「くたばれ」と書かれた紙(手紙)には、思わずニヤリ。
粋なラストだ。