シネマJACKすぎうら

ブルース・リー/死亡遊戯のシネマJACKすぎうらのレビュー・感想・評価

ブルース・リー/死亡遊戯(1978年製作の映画)
3.0
この映画は、ブルース・リー没後5年の月日を経て、生前撮影された未完のフィルムを編集し完成した(とされている)もの。
因みに、本作のクライマックスで登場する黄色のコスチュームに身を包んだブルースの写真画像は(本作の完成前から)時折、映画雑誌などで取り上げられていて、未完作品の存在は以前からかなり知れ渡っていた。

わたしの記憶が正しければ、、本作のロードショー前に放映されたTV特番のインタビューで、ゴールデン・ハーベスト社の総帥レイモンド・チョウはこんなようなコトを言った。「この映画に出ているのは全てブルース・リー本人。”そっくりさん”は一切使っていません。。」

そんな”オトナ”のコメントを信じ、当時小学生だった自分は近所の映画館へ出かけたのだ。あの頃はほとんどが自由席で、”入れ替え制”などではない。超満員の劇場は観客で溢れかえり、通路に座り込んで鑑賞する状況だった。

予告編のあと、満を持して始まる本編。いきなりブルースの”怪鳥音”と共に、ジョン・バリーのテーマ曲(←これは名曲!)が流れる。当然もうテンションはMAXで、冷たい通路にケツを置いている状況など忘れてしまうのだ。

ブルース・リー演じる主人公のビリー ・ローは、演じる本人同様にカンフーアクションのスター俳優。「ドラゴンへの道」のクライマックスを”劇中劇”の撮影風景に見立てたシーンから物語は始まる。(なるほど!っと、設定の妙に”小学生なりに”感心。笑)

ところが、、、
始まって何分も経たないウチに、なんだか様子がおかしい。。彼の顔アップがあきらかに”アイコラ”ならぬ”ブルコラ”(笑)。

あ、あら〜!あ、あなたブルースじゃないっしょ!!不毛なる心の叫び。。
この映画は、クライマックスとなる”五重の塔”での(幻の)アクションシーン”十数分”のためダケに作られた映画だ。それ以上のものでも、それ以下のものでもない。

帰り途、一緒に観に来ていた(当時中学生の)兄貴は、落胆する弟を慰めようと思ったのか(?)、こう言った。「マコト、ありゃぁ似てないんだから、”そっくりさん”とは言わないんだよ、きっと。」

。。。
こういうトキって、そっとしておいて欲しいんだよね、実は(笑)。