佐藤克巳

三百六十五夜(総集篇)の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

三百六十五夜(総集篇)(1948年製作の映画)
4.0
東京編78分、大阪篇74分だが、大阪篇を相当削って総集篇119分にしたものが現存するマスターらしい。小島政三郎原作本、主題歌も古賀政男で大ヒットし、本作も空前のヒットを記録、市川崑監督も監督昇進、クレジットされないが脚本和田夏十誕生の記念すべき作品となった。薄幸のヒロイン山根寿子、恋人が上原謙、恋敵が大阪の令嬢高峰秀子、上原を妬み山根を罠に落とす守銭奴堀雄二で展開する歌謡メロドラマの秀作。上原は、父が政略結婚を目論み婚約者にした高峰から逃れる様に上京し下宿先の娘山根に一目惚れ。山根は、上原の為に屋敷を抵当に堀から150万円を借り受けた。山根養母吉川満子は、その小切手を実父河村黎吉に奪われ、河村も堀の一味奪われた。上原は金策に迷走、山根はモデルと騙されエロ写真を撮られ二人の関係は破綻した。後篇は更に複雑に進行、カタルシスを感じる画像テクニックが冴えた犯罪アクション風に接近する。なお、高峰の高飛車な振舞いと粋なファッションには魅了された。
佐藤克巳

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