順慶

恐るべき子供たち 4Kレストア版の順慶のレビュー・感想・評価

3.7
4Kレストア版で鑑賞。気になっている古典はこんな機会に見るのがいい。

原作者コクトー自らナレーションしている。
意外にナレーションが多くて、「あれ? 誰がしゃべっているの?」と思うとナレーションだったりする。
主人公の心象風景をナレーションするのだけど、文学の格調高さというか、詩的で比喩的な表現も多くて、原作者のこだわり(良くも悪くも)を感じた。

タイトルが「恐るべき子供たち」なので、イタズラ好きのガキンチョたちの話だと思っていた。
主人公ポールは中二という設定だが、とても中学生には見えず(フランスと日本の中二は年齢が違うのかも)、青年の男女でストーリーで、「恐るべき」なのは、姉のエルザベットだった。

映画は雪合戦から始まる。いかにも子どもらしい。かたまりきらない粉雪の雪合戦。
ポールは雪玉を胸に受けて倒れて意識を失う。雪玉を投げたのは、ポールが同性だけど恋心をもっているダンジュロス(こいつは悪童だ)。

ポールは姉のエルザベットと同じ部屋。ベッドを並べて、仲良くケンカを繰り返す。でも近親相姦的でもあり、姉の心の動きが後半はサスペンスとしてもおもしろい。

姉弟の関係に他者が入ることを許さない姉。
唐突に終わるラストシーンは、シェイクスピアのギリシャ悲劇のように感じた。

帰りに原作本を購入。こんな機会じゃないと読まない古典。
順慶

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