コマミー

アリスとテレスのまぼろし工場のコマミーのレビュー・感想・評価

3.0
【変化を許さない街】


「あの花」の脚本家で知られる"岡田麿里"が、「さよならの朝に約束の花をかざろう」以来の監督・脚本に加え、本作の原作も手がけた作品。
「さよならの朝に約束の花をかざろう」は私が大好きなアニメーション映画の一つで、彼女が脚本を手がけた「あの花」同様に泣けて好きな作品だった。前作はP.A.WORKSと共に制作していたが、本作は「この世界の片隅に」などで知られる"MAPPA"との共同製作作品だ。

本作の舞台となるのは"製鉄所"が聳え立つ"見伏"と言う町が舞台。ところがそんな製鉄所が"爆発事故"を起こす。その途端、謎の"龍の形をした煙"が空を這い、空や町中の空間に"亀裂"が入る。この町にはある制約があるのだが、それを一時破る度、製鉄所に宿った"神の力"の怒りに触れ、その人に亀裂が入り消え去ってしまうのだ。
町の人が恐れるのは「変化」…そして町や町の人も"非現実の世界"に閉じ込められていたのだ。
そんな騒動の中暮らす1人、中学生の"正宗"は同じクラスメイトの"睦美"と出会い、この世界の"真実と抜け出す鍵"を眼にする。

いわゆる"神隠し"の物語である。「千と千尋」よりかは難解ではないかもしれないが、どちらかと言うと新海誠監督の「すずめの戸締り」にもテーマが似ている。私達が"無くしてしまったもの"を「あるキッカケ」を通して探すと言う物語になっていた。
ただやはり今回のこの世界線はかなり難解で、かなり歪であった。睦美の義父である騒動の中心的存在の"衛"が世界線に関する説明を始めるのだが、"凄いちんぷんかんぷん"であり、理解するまでに時間を要す作品である。それに、正宗や他の"中学生達が普通に車を運転"している事に関しては全く説明(してるのだが、よく分からん)できていない。
そして本作の映倫の区分なのだが、G区分とついているのだ。しかし、本作には女性のパンツを見せたり、明らかに女性の"ステレオタイプ"の姿が確認でき、これでG区分はおかしいなと感じた。R15でもおかしくないのではないか?まぁ、これは他のアニメーション作品にも言える事だが…。

映像は相変わらず前作同様にとても綺麗で、ラストの橋渡し方は感動した。だが、本作では全体的に何を伝えたいのかハッキリ伝えきれてないし、本作の区分は明らかにおかしいと感じた。

期待していただけに、かなり残念な作品だった。
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