チッコーネ

モガディシュ 脱出までの14日間のチッコーネのレビュー・感想・評価

3.7
史実のエンタメ化+韓国と北朝鮮のドラマ+終盤に監督が得意とするど迫力のカーアクション、といった内容。
粗削りなところはなく、かなり洗練されたほぼモロッコロケの韓国映画。
内戦が市街地で進行中、という絵はあまりに自然でつい流してしまいそうになるが、スタッフの苦労を充分に汲みたいところ。
幅広い世代のアフリカ系エキストラを十二分に使いこなす統率力も素晴らしく、億単位の予算も伊達ではない。

脚本がどこまで史実に忠実なのかは藪の中、しかし当事者の原作だけでなく、内戦当時の惨状を知る現地人への取材なども、綿密に行っている様子。
無法地帯で嵩に懸かる現地人の様子にはリアリティがあり、額につき付けられる拳銃の感触や、匂いまで伝わってきそう…、また逆境に立ち向かう(朝鮮)民族意識の高揚演出も巧みで、卑屈なところがない。

個人的にはキム・ユンソク目当ての鑑賞。
前半には彼のたくまざるおかしさを堪能可能な、コメディタッチもちらほら。
本作での主演男優賞受賞は逃したようだが、彼が全盛期のうちに大画面で勇姿を確認出来てよかった。