このレビューはネタバレを含みます
ホロコーストには、知らなければ、もっと知らなければ、と思わせる力があると思う。強大な引力のような。少なくとも私は、小学生のとき『ライフ・イズ・ビューティフル』を観たあのときから、どうしても他人事とは思えなくて、ずっとずっと知りたいと思っている。
でも、いつまでたっても「どうして?」と思う。どうして人間はここまで残酷になれた?どうしてこんなことが現実に起こり得た?どうして誰にも止められなかった?どうして?どうして?いくら考えてもわからない。
それから、シュピルマンのような、大勢の名もない人々のような、この世の地獄とも思える経験をした人たちの心は、どんなやろうって。想像しても、考えても、わからない。少しでも知りたくて映画を観るけど、本を読むけど、わからない。わからない方がいいことだと思うし、わかろうとすること自体、傲慢なことなのかもしれない。だけど、やっぱり引力からは逃れられなくて。
ラストの演奏、ありきたりな言葉だけれど、日常の貴重さをひしひしと。本当に、あれほどの経験をした人の心というのは、どんなだろう。生き残る、ということはどんなだろう。