うるぐす

流浪の月のうるぐすのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
4.6
『怒り』の李相日監督、広瀬すずと松坂桃李のW主演で『流浪の月』て。しかも撮影監督『パラサイト』の人て。もう、トップオブトップが集結してるし優勝決定やん。と思ってだいぶハードル上がってたけど、そりゃまあお見事でした。横浜流星もすごかった。

親戚の家が嫌で家に帰りたくない小学生の更紗(広瀬すず)に、声をかけて連れて帰る大学生の文(松坂桃李)。お互いがお互いを必要としていたことで一緒に暮らすことになる。しかしそれは世間からは「女児誘拐事件」とされてしまう。それから15年後、偶然再会するふたり。

映画として美しさとスケールがありながら、社会批評があって、意義のある作品。
人間はいかに「見たいように」物事を見るか。そしてその短絡的なやり方で人を傷つけるのか。原作に比べて、その部分に焦点をより当てていたような感じもしました。更紗が「かわいそうな子」じゃないと都合が悪い。文に悪いことをされていないことがあり得ない。そうじゃないと説明がつかないから認めない。そんな不寛容な社会。(この作品の役作りのために激痩せした松坂桃李について週刊誌が夫婦仲が悪いかのように書きまくってたのとかもそうであってほしい願望だったような)

そんな世間の中で2人きりでいる、愛でも恋でもなくて家族でもない、名前のない関係性。美しくて素敵。

今年の邦画のベストは決まったと思います。

150分あったけど原作読んでる身からすれば全然足りなかった。もっと開けた最後まで描いて欲しかったな。
映画よかったと思う人は原作是非とも読んでほしい。
うるぐす

うるぐす