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流浪の月のhuaのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
3.8
半年ほど前に読んだ原作が蘇ってきた。

映画だとどうしても尺の問題もあり登場人物の細かい心情などが伝えきれないので、原作を超える作品はなかなかないと思っているが、松坂桃李さんの役が憑依したような渾身の演技が素晴らしかった。

そして、文の店calico(英語で更紗の意)はあまりにもイメージ通り、下の階のアンティークショップも。
しかしあのバカラのワイングラスは、かなり印象的なアイテムなのにあまり触れられなかったのが残念だった。
店主柄本明さんと更紗のやりとりを
もう少し見たかった。

更紗も梨花も人として文に惹かれ、一緒にいたいだけなのに、世間はそれを許さない。
それはとても理不尽で、2人を或いは3人を自由に解放してあげたいと願うけど、引き離そうとする警察や、面白おかしく書き立てる週刊誌にイライラするのに、本当はそれが正しい反応なのだと我に返る。

文は何もしなかった。救ってくれた
だけ。伯母の家でその息子にされたことを警察で話してほしかった、更紗には文を救ってほしかったと思わずにはいられなかった。

どこまでいっても誘拐事件の被害者と加害者として見られてしまう理不尽さ。
周りには理解されない愛の形があるのだろう。
大切な存在であるお互いだけが理解し心が繋がっていればいい。

その絆を信じてどこかで幸せに生きていってほしいと願うラストだった。
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