グレハニスト森田

最後の決闘裁判のグレハニスト森田のレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
3.5
史実ということで淡々と事実(?)が展開される構成で、登場人物の思惑とかを思慮するより劇中で描かれた事実のみをそのまま理解していく観方が必要な所謂”文芸作品”のように感じた。

登場人物別の3編からなるそれぞれの見解から事実を導き出すというやや特殊な構成を知らずに観ると、前半のあまりのダイジェストぶりに困惑する。
PG12の判定って何なんだと言わんばかりに”色”がテーマで、生々しいセックスシーンを見せつけられるアダルトな映画である。

際立って面白かったのは、劇中の裁判シーンで最大の焦点となった”妊娠”について”科学”という言葉を纏わせたオカルトを根拠に原告側に対してほぼ満場一致で非難している点。
劇中ではっきりと”オーガズムに達しなければ妊娠しないと科学的に証明されている”、と男性向けエロ漫画みたいなことを言い切っておりこれは結構な強烈さだった。笑

”おとぎ話”や”寓話”で済ませばいい道徳的な話を科学という言葉で権威づけしてあたかも本当のように語る”似非科学”の害悪っぷりは現代でもよくある話だし。
「水からの伝言」なんてのがあったがおんなじような話じゃね、なんて思ったり。
個人的にはこの”似非科学”が劇中の重要テーマだなぁと思っとりました。

しかしまぁ、”決闘”なんてタイトルに付いてたら勧善懲悪のスペクタクルアクションのイメージが強かったもんですが、とんでもない映画を見せつけられた、そんな気分。