HomareKarusawa

ShariのHomareKarusawaのレビュー・感想・評価

Shari(2021年製作の映画)
4.0
知床の雪の中、獣の血の塊が動き出したような存在。まとわりつく氷と自身の血肉の重さにううめきながら、汗だくになって遊び踊る姿は、生命と熱量の奔流のようだ。

映像作家・ダンサー・振り付け師の吉開菜央さんが、知床・斜里町に行って出会った自然や地域社会を、独自の感性で切り取り、物語を紡ぐ。
斜里町の面白い人々と町や自然との関わりを通して、世界のありさまを描き出す。
風と雲の相剋。雪と熱の相剋。人と自然の相剋。“赤いやつ”と“斜里”の相剋。
赤いやつは演者である吉開さん自身であり、荒ぶるマレビトの神さまか精霊のような存在を思わせる。
赤いやつが子供の相撲大会に乱入して鬼ごっこになり、捕まった子供が真っ赤に染まる(マジ泣きしてる子もいて可愛い)。この土俗的な自然と生命の祝福の祭典が素晴らしい。赤いやつと出会たことが、現地の子供たちも豊かな体験になることを願う

ロケ地に飛び込んで行って、色々なものを見聞きするうちに新たな発見をして、物語が形を作ってゆく。吉開さんの初長編はそうやってできた。なかなか奇跡的なバランスにも思える。
これからも色んなことに挑戦していってほしい。
HomareKarusawa

HomareKarusawa