磨

徒桜の磨のレビュー・感想・評価

徒桜(2021年製作の映画)
3.6
”あだざくら”
タイトルは、散りやすい桜の花。儚いものの例えで、親鸞上人が詠んだ短歌の一部【明日ありと思う心の徒桜 夜半に嵐の吹かぬものか】から。要するに今するべき事をやれ的な意味、林先生が有名になったアレみたいなやつです(笑)

最初、タイトルだけ見て「お、時代劇かな?」と思いましたが、福岡で暮らす高校生たちの日常や恋愛をリアルにつづった青春群像劇。
演出家の畑中晋太郎が自身の演劇作品をもとに脚本を書き、本作で映画初監督を務めた。

鑑賞前に内容では無くタイトルの意味を調べた所で場内暗転ー。素晴らしい言葉に感銘を受け、タイトルのみで期待値が無駄に上昇。
ただ、93分中の半分ほど迄はちょっと老け顔(失礼)の高校生達がキャッキャウフフする内容…。舞台っぽい撮り方なども気になり、いったい自分は何を見せられてるんだとタイトルとの乖離にモヤモヤ、どうレビューしたらいいのかと苦悩(笑)

そんななか残り40分あたりから物語が一気に動いていき、展開は一気に変貌。むしろ残酷さを感じるほどの切ない物語。序盤では違和感のあった無駄にドラマティックに撮ろうとしていない演出は後半では好印象。


ここでタイトルを思い出す。なるほど…と。前半のくだらない展開が逆に効いてくる。
何よりも、物語の4/5くらい書いてあるここのあらすじ見なかった自分の勝利かな(笑)
磨