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スープとイデオロギーのkyokoのレビュー・感想・評価

スープとイデオロギー(2021年製作の映画)
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鑑賞後にジャケ写を見るとまたじわり泣けてくる。

こんな辛い記憶ならば、いっそ忘れてしまった方が楽だろう。その記憶から母親を解放させたいと思いながらも、歴史の語り部としての役割を担ってしまった娘は、もはや目の前にいる自分のことすら認識が危い母にカメラを向ける。

なぜ、帰国事業で息子たちを北朝鮮に渡らせたのか。『かぞくのくに』では判然としなかったその理由を、今回、あまり知ることのなかった済州島四・三時件の悲劇が教えてくれる。

冒頭、酒の入ったご機嫌な顔で「結婚相手は朝鮮人(ただし韓国は除く)に限る」と言っていたアボジ。日本人と結婚した娘を見守る穏やかな笑顔のオモニ。どちらも家族を心から愛した人たちだった。

周りがダウン着てる中ひとりTシャツ1枚でいける強者・カオル氏。
ほぼヤクザな口調による葬儀社への抗議は、義母を大切に思う気持ちからと言われたらまあそうなんでしょうけども、人間の質が問われる場面だった。そしてあれを良しとする価値観は私にはない。
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