nhr703

笑いのカイブツのnhr703のレビュー・感想・評価

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)
-
ツチヤタカユキのざっくりとしたプロフィールしか知らないで観賞。とにかく岡山天音凄い。

ツチヤはお笑いにのめりこんでいるのに自分自身は全く笑わないのが印象的。楽しいとかやりたいとかじゃなくて「やらざるをえない」ものと戦ってる気がした。しんどいけどやるしかない、しかもそれが自分の大嫌いな世間を楽しませるお笑い。劇中のピンクが言っていたとおり大皮肉。

ツチヤは人間関係不得意だけど、周囲の人は優しい。だからこそ本人も辛いのかもしれないけど、ごめん観てるこっちは正直イライラした。自分が周りのことを理解しようとしない(できない)のに周りにそれを求めるのは傲慢だし、あれだけ入れ込んだ生活ができるのもそもそも生活基盤を支えてくれた母親、そして仕事を回してくれる西寺がいてくれるおかげ。自分1人だけ辛いしんどいと戦ってるけど、いやお前がそんな風に生きられるのは周囲のおかげでもあるよ?とも感じてしまうわけであって…。映画では他にもちょこちょこ助けてくれる人がいて相当理解者に恵まれてる。
特に氏家優しすぎるだろ。私だったら仕事のパートナーが突然やっかいな若者連れてきて面倒みてやってくれって言われて途方にくれるし、いくら優しく接しても無礼な態度取られまくるしあの相手方プロデューサー?ごとくブチギレてるわ。笑

終始ツチヤが理解できなくてイライラしてたけど、でも西寺が「おはようとお疲れさまですは言え」とか本当に超基本的なことから教えてて、それを頑張ってやろうとはしてるんだよね。おそらく障がいの一種を抱えているであろうから簡単に否定するのは難しい。。

とはいえここまで自らを俯瞰してるのは凄まじい。視点が違うのだと思う。

主演の岡山天音(泣きながら鼻水たらすシーン圧巻)を筆頭に役者が良かった。特に菅田将暉最高。なんでもできる俳優だけど菅田将暉の真骨頂は少しイっちゃってる口の悪い男だと思うので実に良い菅田が見られました。あのピタピタの服も常人なら無理すぎて事故になるのに菅田が着るとイケてる不思議…。明らかにヤバい男、だけど理解者として優しさにじみだすの最高。居酒屋で吐露するツチヤの背中をさするシーン最高。(「黙っとれブチ殺すぞ!」も良かった)本当に一瞬だけ前原瑞稀が出てたのも驚いた。氏家の前原とあわせてらんまんコンビだね。
nhr703

nhr703