氷雨水葵

女神の継承の氷雨水葵のレビュー・感想・評価

女神の継承(2021年製作の映画)
3.4
2023年72本目

なかなかハードなホラーでした

◆あらすじ
タイの山村に暮らす娘ミンは、ある日を境に謎の体調不良に見舞われる。

ミンの母親は祈祷師である妹ニムに助けを求めた。

ミンが一族の新たな後継者として聖霊に憑依されているのではないか、と考えたニムは祈祷をおこなうが―――。

◆感想
月末恒例U-NEXTポイント消費をと考えていたところ「そういえば観てなかった」と思い立ち鑑賞。タイを舞台としたハードなホラーでした。幽霊的な怖さには耐性があるものの、女神崇拝やら複数の悪霊による憑依やら、知らない国の風習による恐怖やらは、なかなかくるものがありますね…。モキュメンタリー手法による怖さも地味にあって、カメラアングルや撮影者の手ブレ、時々出るテロップが妙にリアルに感じました。しかも、サワニー・ウトーンマ演じる祈祷師ニムが実在しているような雰囲気で、さながら『ブレア・ウィッチプロジェクト』のよう。途中から、タイの山奥の村を舞台にしたマジなドキュメンタリーに見えてきました。

ただ、ストーリー自体は普通というか「こうなるよね?」と予想できるシーンが多く、そこまで目新しさはなかった印象。ジメジメとした恐怖が連続する前半に比べ、後半の儀式シーンはいささかスピードアップしすぎな感じだったし、もはやゾンビ映画みたいになってて、かなり疲れました。

ミンが憑依されて疲弊していく姿はエクソシスト物だとよくあるけど、にしても辛い。というか、隠しカメラに映るミンがとにかく怖すぎた…。とくに、暗闇の中、目を光らせてゆっくり姿を現すシーンが怖かったです。ミン役のナリルヤ・グルモンコルペチによる怪演よかったと思います。

てか、祈祷師サンティによる儀式も虚しくって感じだったけど、今までのミンの所業を聞いたり、強力な悪霊ってわかっているなら、太刀打ちできないってわかるだろ。しかも、壺に封じ込めるって(笑)まぁ、その後の展開は予想通りで、儀式場から離れたところにいるミンによる凶行、祈祷師役立たずな展開、仲間はみんなゾンビに喰われるetc。しかも、おかんが急に祈祷師っぽくなったけど、なんで兄や祈祷師の仲間たちを殺したんだろうか?まぁ、娘への懇願も虚しく業火に焼かれちゃったけど。

そもそもバヤンという聖霊はいい聖霊だったのか?全然そんなシーンなかったが。

深い森や神秘的な洞窟のシーンは、女神崇拝する村を舞台にした物語にぴったり。神聖な雰囲気を醸し出していて、少しひんやりした感じが伝わってきますね。
終始ジメジメ、ねっとりした空気が漂っているので、Jホラーのようにも感じました。ジャンプスケアやグロはないし、やっぱりどこか劣るけれど面白かったと思います。

結局は一族の因縁が原因だったってことね。
氷雨水葵

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