グレハニスト森田

THE FIRST SLAM DUNKのグレハニスト森田のレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
3.8
30年越しの完結。
「あしたのジョー2」真っ青の時間を経て帰ってきた湘北バスケット部。
公開前から声優交代騒動も含め話題に事欠かなかった本作の出来は。

ストーリィは語るべくもなく、よろしい。
作中最終部に当たる内容をキャラ紹介もなしに劇場版で公開して、こんだけの興行を叩き出せるのは他の作品ではありえない。
作品の一部始終が国民的常識となっている点で恐ろしいものを感じる。

3Dアニメという点においても公開前は物議を醸したようだが、スポーツ題材アニメの進化点を見た気がした。
「リアルなスポーツモノは作画的労力に対して、地味すぎて30分耐え得れない」というのがセル時代のスポーツモノの常識だった時代からは考えられないほど、一生”動いている”。
3D+モーションキャプチャとの親和性が非常に高く、本当の一試合を見たかったファンにとっては納得の出来。
思い出補正で美化されているが、改めて旧東映版を見てみると試合の動的箇所は印象的なシークエンスを除き、殆どが使いまわしで子供だましもいいところである。笑

そもそも志向しているものが全く違うので比較の意味は無いのは十分承知の上、旧東映版との比較。
これは”子供のためのアニメ”か”映画として作ったか”の違いに尽きる。
旧東映時代の軽佻浮薄なノリは見る影もなく、極力リアル志向で人間ドラマが展開される。
心情的な説明シーンも極力カットされ、現在と過去が交差する構造に作り上げられており全くの別物。
確かにかつてのファンはもういい年だし、こういう出来になるのも納得。

こっからはただのボヤキ。
春子さんの扱いが適当すぎる。
まぁ桜木花道の立場が主人公でなくなったため春子さんの使い所がなくなった影響を差し引いてもあまりにぞんざいな扱いで、作画も心なしか適当なものに見える。(彩子さんとはえらい違いだ笑)
百歩譲って回想シーンの「バスケットはお好きですか?」のシーンで春子さんの髪型が違う(髪切った後になってる)のに納得いかず、集中力が全くなくなったのは内緒。

人に誘われて観に行った程度で全く期待もしていなかった割に今季一番集中して観てしまうという程にかなりよく出来ていた。
でもね、井上雄彦が気に食わないと噂の旧東映版が好きなんですね、あたし。
平松晶子の春子さん可愛いじゃんか。
何が悪いって旧東映版のスタッフがあの時代にOVAで作らなかったのが悪いんだよ。