Kamiyo

THE FIRST SLAM DUNKのKamiyoのレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.0
2022年”THE FIRST SLAM DUNK”監督.脚本井上雄彦

僕は、原作漫画・アニメ版とも未見。高校バスケを描いた漫画らしい、くらいの予備知識しかなく
原作だと宮城リョータは主役じゃないんですね。
こんな基本も知らない僕でも十二分に楽しめた作品でした。
井上雅彦のスラムダンクはただ台詞が素晴らしいとの評判で 井上雅彦の台詞に関わる本なども読んだりしていました。息子がスラムダンク世代よく漫画を読んでいたのを知っていたので興味をそそり
原作者である井上雄彦先生が脚本と監督務めたとなったら観に行きたくて劇場へ

出だしの風景。空撮で沖縄の空から小さな二人の人物に寄っていくまでのシーンから始まる
沖縄で母・兄・妹と暮らす少年、宮城リョータ。
兄のソータはバスケットボールが上手く、リョータも憧れていて、いつもふたりでバスケットボールの練習をしていた。 が、ある日、友だちと船釣りに出かけた兄ソータは事故に遭い、死んでしまう。
リョータの家族は神奈川県に引っ越し、兄の死後以降荒んでいたリョータであったが、湘北高校へ進学したリョータはバスケットボール部のレギュラーメンバーとなり
神奈川県代表としてインターハイに出場した湘北高校バスケ部は、二回戦で高校バスケ最強と言われる秋田県代表・優勝候補山王工業高校と対戦する事になる。
そんな湘北高校2年の宮城リョータは、この対戦に並々ならぬ決意で臨んでいた――今日はインターハイの初戦。
といったところから始まる物語で、リョータの過去と山王工戦の様子がクロスカットされながら映画は進んでいきます。
意外な人物の過去にフォーカスすることで、競合チームとの試合展開を面白くする。

原作では過去エピソードが描かれなかった宮城リョータを中心に据えて、その過去を絡めて描くもの。
この内容には批判も多いようですが、原作未見の自分としては、下手に長大な物語の一部を切り取って見せられるよりも、1試合に新エピソードを絡めて描くと言う内容は入りやすかったし、その中で兄の死を乗り越えた少年が家族を再構築するエピソードと、強敵との戦いの中で、チームとして再構築されていく湘北高校バスケ部を平行させ、それをバスケの試合の高揚感に併せて盛り上げて行く……
と言うのは、
ストーリー構成の巧みさを感じて。。。なかなか感動的

アニメとしては、これはモーションキャプチャーを使い、極めてリアルな動きを実現しています――それもまた「アニメ版と違う」と非難の対象となっているようですが……
今までに観た事のないアニメーション表現に、王道のスポーツ青春ドラマ……しかも、第一級の、となればこれは一見の価値ありでしょう。
確かに、原作漫画やアニメ版のファンには馴染めなかったりもするのでしょうけれど、それらを知らない自分には非常に面白く観る事が出来た映画でした。
原作者でもある井上雄彦氏が自ら脚本と監督を担うことで、登場人物の背景を細かく描くことができた。
試合のシーンが、選手の息遣いや汗など細かく映像として露出されていて、興奮が増幅する思いだった。

奇しくもFIFAワールドカップでジャイアントキリング(強豪国ドイツ、スペインに逆転勝ち)をしたサッカー日本代表の戦いぶりをまるで予言したかのような展開に驚かされる。
最後まで諦めない。言葉にすると陳腐だが、それを頑なに実現するまでの人間模様。
これはスポーツのドラマでありながら、様々な人物の相関関係を示し、スポーツと人生を見事に重ね合わせることに成功している。
試合シーンのラストで無音の状態にして、観客席を無重力状態にし、呼吸を止めさせるような演出は驚きだ

宮城リョータのセリフより
「キツくても…心臓バクバクでも…めいっぱい平気なフリをする」
「ドリブルこそチビの生きる道なんだよ!!」

僕の本の中で 台詞で安西先生を象徴するのがこの名言。
決して特別なことではなく、バスケットをはじめとするスポーツ全般、もちろん人生の万事にも共通するテーマといえます。バスケに関わらず、現実社会で生きる中でも大事にしたい名言です。
「あきらめたらそこで試合終了だよ」
「お前のためにチームがあるんじゃねぇ。チームの為にお前がいるんだ!!」
はいあがろう「負けたことがある」というのが、いつか大きな財産になる
Kamiyo

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