きらきら武士

THE FIRST SLAM DUNKのきらきら武士のレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
3.7
思い出し記録。

大ヒット確定後の2023年5月だったか、に遅れ馳せながら妻と娘と観に行った。OLDファンから賛否ある話はうっすら知っていたが、普通に楽しめたと言えば楽しめたし、なるほど色々言いたくなる所も沢山あるな、と思った。

良かった点
・ヌルヌル動くCG湘北メンバーが新鮮。井上雄彦は瞬間を切り取るのは超上手いが、動きを描くのはあまり上手でない。CGアニメでの湘北メンバーのリアルな動きは非常に目新しかった。
・水彩風タッチ。目新しかった。
・山王戦フル再現。やっぱ熱かった。河田好き。

悪かった点
・ヌルヌル動くのも良し悪し。迫力的にはイマイチ。やっぱ井上雄彦は「止め絵」で見栄を切るのが最高に格好いいんだなと思った。そういうシーンもあった。
・水彩風なのに色が汚い、暗い、濁っている。全体にダウナーで憂鬱。
・リョータに後付エピソード、盛り過ぎ。人死にまでいれて盛り上げるのはアカン。泣いたけど。

など、既に多くの人が書いていることに同じ。

あと、
それこそ沢北じゃないが、
「そのパターンも知ってる」
的な所が目についた。

『バガボンド』『リアル』でやってる「過去との和解」パターン。
伊達に井上雄彦作品を追ってないっス。
既視感ありで、若干冷めてしまった。

公開予定が当初は2022年秋だったが、コロナの影響もありながら2022年の12月公開への延期で済ませたこと、ちゃんと映画を完成させたことは褒めて上げたい。
やれば出来るじゃないか!敢えて超偉そうに言うが。
そして、これがリハビリになったんなら、早くバガボンドとリアルの続きをちゃんと描いてくれ、今度こそ物語をきちんと完結させてくれ、と声を大にして言いたい。他の人の手を借りてでも、終わらせて欲しい。本当に。

でも半分以上、諦めてるけどね。
SLAM DUNK連載をワクワクしながら読んでいた少年は、今やひねたオッサンに成り下がった。

なんか年月経ちすぎて、不満が腐敗して「恨み」みたいになってる。
だから普段は心の湖の奥底に沈めて、触れないようにしているんだが、本作を観て、あ、まだ浄化されてないな、と認識した次第。

鑑賞直後にそんなことを頭の中でグルグル考えていたから、
妻と娘には「面白かったね~(ニッコリ)」とだけ返し、彼女らの感想をぶち壊すようなすべての言及を封印し、静かに粛々と帰路に着いたことを思い出す。

#2023
きらきら武士

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