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アステロイド・シティのOmakeのレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
3.8
ー眠りに落ちなければ、目覚めることはできないー

とぼけた映画なのか、からかわれているのかというのが最初の印象。
帰り道、友達と、なんの話だったと思う?
と一緒に反芻する。

アメリカを特徴づけるアイコンを使ったアメリカ現代史のパロディのようにも見えた。

宇宙人が思わずカメラに向かってポーズを取ってしまうあの場面では妙にツボって笑いを堪えきれなかった。なんでおかしいんだろう?
友達が一言、あれウィレム・デフォーだったからじゃない?

いやしかし、これは多分ただトボけただけのお話ではないように思う。「存在」を問う哲学的なお話なのではないだろうか?古くて答えのない問い、私たちは誰?

実際には存在しない町アステロイド・シティで起こった出来事。
存在しない町に集められた人々が、ある「存在」に遭遇し、その「存在」を隠しておきたい当局にとって、それを目撃した人々が厄介な存在となるという物語。
そしてそれと並行して物語の舞台裏が語られるというややこしいお話。

外の世界から隔離されている間、アステロイド・シティにとどめ置かれた人々の見せる行動や会話は私たち人類の存在を理解する上でさまざまなヒントを与えてくれる。

ニンゲンとは不思議な生き物だ。
新天地に行って旗を立てたり、旅行先で遺跡に恋人と自分の名前を刻んだり、写真を撮ったり、発見したものを記録したり、星に自分の名前をつけたり、テリトリーを囲って番地をつけたり、それを守るために武器を作ったり、死者の墓を作ったり、神に祈ったり、そうしたものが自身の存在を確かなモノにしてくれるとでも思っているかのように大真面目で取り組んでいる。

科学は私たちの存在を証明してくれるのか?武器は私たちの存在を守ってくれるのか?

マリリン・モンローは亡くなってから随分経つけれど、彼女のアイコンは今も存在しつづける。劇中、子供たちが有名人の名前を言うゲームをする。実際に存在するパーソナリティ限定で、と。しかし私たちはもはや実在の人物と架空の人物との区別をするだろうか?しかも実在の人物がすでに死んでいるとしたら、実際に存在するって何?
ワタシの写真とワタシは同じワタシだろうか?
パーソナリティとはいったいなんだろう。

存在を認められたくて一所懸命に何かをやる若者がいる一方で、当局が隠そうとしても知れ渡ってしまう存在もある。

人はどうして生きること、存在することに不安を覚えるのだろう。

私たちはただ生まれてきただけなのに。




riflettendo sulle proprie credenze esistenziali e religiose dopo avere appreso di non essere soli nell'universo.
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