Mikiyoshi1986

道化師の夜のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

道化師の夜(1953年製作の映画)
4.2
本日7月14日はスウェーデンが誇る世界三大巨匠の1人イングマール・ベルイマン監督の生誕99周年!

30代半ばのベルイマンが三番目の妻と結婚生活を送る中、
この恋多き監督は「不良少女モニカ」で主演した当時20歳のハリエット・アンデルセンと恋に落ちてしまい、次回作でベルイマンが彼女に用意した映画がこちら。

残念ながら日本ではDVDはおろかVHS化すらもされていませんが、
本国スウェーデンでは2012年選出の国内映画オールタイムベスト25選において、堂々12位にランクインするほどのベルイマンの代表作であります。

巡業サーカス団を率いる初老の座長アルベルトと、
内縁関係の若き団員アンナとの間で巻き起こる愛憎と悲哀に満ちた人間ドラマ。

財政難に喘ぎながら旅を続ける過程で、いよいよ老境に入り、劣悪なサーカス生活にも嫌気がさし始めていたアルベルト。
彼は巡業先の町で店を経営する元妻と息子二人との3年ぶりの再会を楽しみにしていますが、そんな彼に不安と嫉妬を覚えるアンナ。

道化師モノと云えばフェリーニの特権みたいなところもありますが、「道」よりも本作の方が一年早く公開されており、
また本作は小津安二郎の名作「東京物語」と同じ1953年の作品ですが、既に小津は1934年に本作と似たプロットの「浮草物語」を制作しています。

意を決して前妻に復縁を懇願するアルベルトですが、やっと手に入れた平穏な生活を邪魔しないで!と敢えなく撃沈。
一方のアンナは衣裳を借りた町の劇場でスケベ俳優にそそのかされ、偽の貴金属に釣られて不貞を働いてしまうことに…。
更に惨めな出来事は続き、絶望の縁で二人のプライドはズタズタに踏みにじられてしまう悲哀劇。
ボロボロになりながら決闘するアルベルトがホント泣ける…。

冒頭では一座のベテラン道化師フロストと妻アルマもかつて公然で辱しめを受けた過去を持ち、晒し者にされても愛するが故、必死に守った回想もこれまた泣けます。(無声映画仕様になっているから余計に)
その後、酔い潰れたフロストが見たというアルマの夢は、アルベルトにどんな感情を芽生えさせたでしょうか。
荷馬車に揺られ、また次の巡業へと旅に出る一行の変わりない風景。
生きることの過酷さを通して愛の尊さを見事に描破してみせたベルイマンの傑作です。

アンナのはち切れんばかりの乳と、超自然体な腋毛もクソエロくて最高です。
Mikiyoshi1986

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