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死刑にいたる病のtmcてむしーのレビュー・感想・評価

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
3.6
2022年33本目

ストーリー
受験に失敗しFラン大学に通う雅也の元に、連続殺人鬼である榛村から手紙が届く。
榛村に会いに行った雅也は、立件された犯行のうち一つは冤罪であり、その犯人を見つけてほしいという依頼を受ける。


テーマは「嗜虐性の伝達」。
殴られて育った子供は人を殴るようになる。人はやられたことしかできないんですよね。
となると榛村の歴史も気になるところですが、今作では榛村はいわばダークナイトのジョーカーであり榛村自身の過去は描かれません。
榛村役の阿部サダヲの不気味さは、まさに死刑にいたる病を感染させていく病原体そのものでした。
ラストはcureを彷彿とさせるオチで、サイコミステリー邦画にはありがちではあったものの
ストーリー全体から見るとギャップのある着地でした。
グロ要素強めで、子供が犠牲になるので苦手な方はご注意ください。

以下、あんまり好きじゃなかったところ!
グロ・エロの見せ方があまりにダサいというかサブいのが気になりました。
グロエロをエモい画面で演出すること自体はいいんですけど、榛村の残虐性や異常性はお互いの関係を構築してそれを裏切るところが肝なわけで、爪を剥ぐとか生きたまま腕を切るとか焼くとかを残酷に描くのは、彼の犯罪の本質ではないと思います。
サイコスリラー好きはこういうの好きっしょ?wみたいなのが透けて見えて「いやそういうことちゃうやろ」みたいな気持ちになりました。
序盤主人公個人の感情が全然描かれないのは意図的なんだろうか…というところもちょっと気になったところです。
なんかゲームの主人公を動かしている気持ちになっていたので、急に能動的に動き始めてびっくりしました。笑
あとさーーーあのガラス越しに重なる演出ぜっっっっったいやると思ったよ…笑