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ある男の79のレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
4.0
アカデミー、おめでとうございます。
この映画はシネスコではなくヨーロピアンビスタという少し違うサイズで撮られています。ポーランドの名門大学で映画を学ばれた監督。ヨーロッパでは、映画を作るときに1番最初にみんなで「どのフィルムで撮るか」を考えることは普通のことなのだそう。この作品は、妻夫木も窪田も何かに縛られている引っ掛かりみたいなものがあって、その視界の狭さみたいなものを表現するためにシネスコよりもヨーロピアンビスタがいいとの事で、選ばれたそうです。
原作も素晴らしい上に、2時間の映画を紡ぎなおした脚本の向井さん、家庭を持って表情や感情がまたひとつ変わった妻夫木(在日としての自分の存在価値を問う)、過去を抱えすぎている窪田(作品の根幹として本当に素晴らしい演技)、自身も母として痛いほどに感情移入ができる安藤(普段はノーブラのような女性の役が多いが、この作品はきちんとブラジャーをつけてきちんと生活している女性の役だからそこから役を意識したと言っていた)、脇を固める清野、柄本、息子役の坂本くん、全てをまとめた石川監督、本当にみんな素晴らしい。
凱旋上映もやってます。この、ヨーロピアンビスタはテレビで観るなんてもったいない。映画館で見てください。
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