トガシパンダ

ある男のトガシパンダのネタバレレビュー・内容・結末

ある男(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

戸籍交換。誰かの経歴、人生をそのまま名乗ることができたなら。

「死んだ夫は実は誰なのか?」という謎解きの裏で、どんどん城戸が原誠に感情移入していく様。テレビに映っているぼやけた自分の顔をみるシーン、の直後にスクリーン全てが城戸がみているテレビ画面になる演出にゾッとした。怖かった。

父と子、夫と妻の関係が良い。そこにあった愛は事実だもの。安藤サクラ、めちゃくちゃお母さんだったなーー!仏壇の前で「大佑さんですけど」と連呼するシーン、息子と軽トラの荷台で話すシーンもリアルな怖さやリアルな暖かさがあって良かった。やっぱり好きです

最後は、バーでふと出会った男に原誠の半生を喋る。自分にも4歳の息子がいるのに、原誠の子供たちを紹介しているのは親心として歪だった。そして最後の絵画。鏡を見る男、鏡にはその男の顔ではなく背中が描かれている。そこに重なるように立つ城戸。3人目の谷口大佑。いいラストだった。